ボクシングのプロテストに合格しライセンスを持つには。プロボクサーを目指す方へ






たまにやってくる、「です」「ます」多め記事です。

ぼんやりとでも「ボクシングをやってみたい」「プロのライセンスをとりたい」と考えてる人に参考程度に読んでもらえればと思います。

はじめに

僕自身はもうボクシングには携わっていませんが、ボクシングを始めたのは22〜23年ほど前です。

当時はボクシングジムに通っているといえばヤンチャ系、ヤンキー系のように思われたのですがもうここ約20年近くはどのジム内にもそういった雰囲気はほぼありません。

経験としては練習生・プロ・トレーナー合わせて20年ほどボクシングに携わり、今現在は全く別の職業に就いているおっさんです。

その中で練習生としての目線、選手としての目線、トレーナーとしての目線、ボクシングから退いた人間としての目線から記事を書いていきたいと思います。





ボクシングジム探し

まずボクシングをやりたいならジムに入会しなければいけませんし、プロを目指すならプロ加盟しているボクシングジムに入らなければプロテストを受けることもできません。

個人的見解にもなりますが、大きなジムや有名なジムに入ったからすぐプロになって試合にも勝てるというわけではありません。もちろんタイトルマッチや大きな試合となると挑戦権の交渉など話は変わってくるかもしれませんがまだボクシングをしたことない人が考え悩む領域ではありません。

この時点で大きなジムや有名なジムを選ぶと良い点としては練習相手(スパーリング相手等)が沢山いるということです。

ですが、プロを目指すとなればある程度自宅から近い範囲で探すことをオススメします。

理由として、まだ始めた頃であればモチベーションも高く通うことが楽しくて仕方ないとなるかもしれませんが、毎日(週6日程度)を何年も通うとなると片道1時間以上かかってしまうような場所ですとほとんどの人が通うこと自体がしんどくなります。どのスポーツにおいても当てはまることですがモチベーションが低下すると一気にパフォーマンスや動きに現れます。本人が気づかなくてもこれは間違いありません。

ですので、どうしても入りたいジムがあるなど以外の場合は近場で探すことをオススメします。まずは毎日練習に通うことが基本ですのでそれができる環境を作ることが一番です。

一般財団法人日本ボクシングコミッションホームページ 全国ジム一覧





ボクシングジム体験

入りたいジムが決まったら即入会という考えもありますが、どのジムでもだいたい1日体験等のシステムがありますのでそちらを体験してからの検討でもいいかと思います。

これから長年通うと考えるとジムの雰囲気、会長・トレーナー・スタッフの感じなど知っておいた方がいいかと思います。またその時のチェック点として自分だったらおさえておく箇所は、

  • 更衣室ロッカーの鍵の有無
  • 有料貸出ロッカーの有無
  • シャワー室の有無
  • 会長、トレーナー、スタッフの方々の対応

この4点くらいかと思います。

更衣室ロッカーの鍵の有無に関しては安心面からです。人を疑うとかではなくスマートフォン、財布、アクセサリー類など貴重品を持ち歩かれる方が多いと思いますのでロッカーに鍵があるに越したことはありません。

有料貸出ロッカーの有無に関しては、ある程度の物がジムで貸し出ししてくれるところが多いのですがボクシングを続けていくといろいろと自分のものが欲しくなり道具が増えます。サンドバッグ用グローブ、ヘッドギア、スパーリング用グローブ、ファウルカップ、シューズ等これを全て毎回持っていき持ち帰るのは大荷物になりますし結構大変です。そのため貸ロッカーは必要になってくるかと思います。

シャワー室の有無に関しては、ほとんどの人がかなりの汗をかきます。そのためシャワー室はあったほうがいいでしょう。

会長、トレーナー、スタッフの方々の対応についてはプロを目指しプロボクサーとしてやっていきたいと思うのであれば長いお付き合いになるためそういった面でも自分の直感的な部分でも判断されたほうがいいと思います。

その他にも衛生面など諸々あるかと思いますが、個人的にはこの4点くらいかなと思います。





ボクシングジム入会

入会についてですが、ほとんどのジムが、

入会金+今月月謝(日割計算)+翌月月謝(翌々月分までの可能性もあり)

が最初に必要なお金かと思います。

またスパーリング等をするにあたってジム側が加入している保険等に入ることも必要になってくると思います。入会金に関してはジムによって無料キャンペーンをやっているところも多いのでホームページ等で確認しておいた方がいいかもしれません。

あとはクレジットカード対応している所はあまり聞かないため月謝引き落とし用の銀行口座が必要になってくると思います。

ここで元トレーナー側からの目線で伝えておきたいのが、月謝引き落としができなかったり、支払いが遅れる練習生の方もちらほらいました。ボクシングは個人競技ではありますがトレーナーやジムとの信頼関係は必要不可欠です。そういった面からも信頼を損なうようなことはないようにしましょう。





ボクシングジム入会後

ここからはもうひたすら練習あるのみです。

トレーナーの方にはプロを目指したいと伝えた方がいいです。プロ加盟しているボクシングジムでプロになりたい意志のある子は大歓迎のはずです。

ジムによっても考え方がいろいろですが、週6日練習に通うつもりでいましょう。休みも大事ですが、基本は週5〜6日と思っておいた方がいいです。

あとは最初に教えてもらうであろう、構えとスタンスはかなり重要です。その時覚えたスタイルに慣れてしまうと後から直すのはかなり難しくなります。

特に構えた時のガードの位置なんかは、そこからパンチを出すためガードが低い体制に慣れてしまうと、そのスタイルからガードをあげるスタイルに変えるのは一苦労どころではありません。

はやくいろんなパンチを覚えてスパーリングなどしたいとなるかもしれませんが基本が一番重要なんでしっかり積み重ねた方がいいです。





⑥走る→ランニング?ジョギング?

ボクサーといえば走ることが基本です。

ただのんびりタラタラ10km走っても、意味はないとはいいませんが、変えた方がいいです。

プロテストの実技だとスパーリング2R、C級(4回戦)だと3分×4R、B級(6回戦)だと3分×6R、A級(8回戦以上)だと3分×8R〜とパッと見では短い時間に感じるかもしれませんが、たぶん初めてのミット打ちやスパーリングでは3分×1Rで地獄です。

ジムでの練習を積み重ねることによって、2〜3R程度は動けるスタミナがついていくかもしれませんが、プロとしてやっていく以上、毎日走ることを習慣化させなければ途中で必ずつまずきます。

自分は朝起きて走ることができなくなったら辞めようと思っていましたが、そうなる前に怪我して辞めました。ただそれくらい走ることは重要です。

先程書いたようにタラタラ時間をかけて走るのではなく、

  • アップにジョギング程度のスピードで2kmほど
  • ダッシュで800m〜1kmほどを1分休憩等を入れながら5〜6本
  • ダッシュで100m〜200mほどを数十秒休憩等を入れながら5〜6本
  • ダウンにジョギング程度のスピードで2kmほど

ランニング用トラックや距離がわからないところで走る方はストップウォッチや時計を持っておくといいです。そうなると、

  • ジョギング程度のスピードで10分程
  • ダッシュで3分間走ることを1分休憩など入れながら5〜6本
  • ダッシュで30秒走ることを10秒程度の休憩を入れながら5〜6本
  • ジョギング程度のスピードで10分程

距離にして12kmほど、時間にして50分ほどで終わるかと思います。

これはあくまで現役の時に自分がやっていたり、トレーナーの時に選手に言っていたことなのでまだ始めたばかりのころは少しずつから始めて距離をのばしていくといった方法をオススメします。

重要なのはまずは毎日走ることを習慣化させることです。簡単そうですが毎日続けることはかなりしんどいです。

初めから毎朝10km以上走れということより、とにかく朝起きて走る、生活環境として朝走れない人は走る時間を1日のうちに毎日つくる。まずはここからです。




プロテスト申し込み

映像の企画物等で数ヵ月でプロテスト受験!などがありますが実際は半年以上はかかると思っておいた方がいいです。ジムや人によっては1年以上かかる場合もあります。これに関してはほぼジム側の判断です。

練習にちゃんと来ていて、スパーリング等でもある程度のことができていればジム側から申し込み等の話が出るかと思います。そうなるとボクシングコミッション指定の病院で健康診断が必要になります。健康診断の費用、試験料、合格後はライセンス料等もかかりますので正確な金額を把握しておいた方がいいです。

申し込んでから試験票が届き試験当日までは1〜2ヵ月程度と思っておいた方がいいです。早くなることもありますが、他の申し込んだ人の中から実技試験相手が組まれるため体重の重いクラスですと少し時間がかかった場合もありました。





プロテスト対策

これに関してはもう基本をしっかりすることが1番の近道かと思います。

実技試験で乱打戦に持ち込んでダウンをとったとしても受かる保証はありません。

簡単に言ってしまえば、合格すればすぐプロとしての試合を組めるわけですから、今の状態でこいつは試合に出して大丈夫か?を、試合に出して大丈夫!と試験官の方に思わせることが必要かと思います。

まず試合に出て大きな怪我に繋がらないかとなると、

  • アゴを引いているか
  • ガードはできているか
  • 相手のパンチに反応できているか
  • スタミナはあるか

あたりになるかと思います。

アゴを引くことに関しては、これはトレーナーとしても重要視するところです。

詳しい説明は省きますがアゴが上がっていてパンチで顔が跳ね上がることはかなり危険なことです。これはプロの試合においてもストップの対象になる可能性が高く、アマチュアの試合でもこれでよくストップになっていたのを見かけました。

ガードができているか・相手のパンチに反応できているかに関しては、打たせて打ち返すといったスタイルではたぶん合格しません。

またトレーナーとしても試合では勝つことを最優先としたいところですがもう一つ五体満足のまま控室に戻ることを最優先と考えます。これはボクシングコミッションの方々も同じかと思うので、危なっかしい・大きな怪我をするリスクがあると判断されるようなスタイルでは合格は難しいと思います。

スタミナがあるかに関しては、走ることの項目でも書きましたが基本中の基本です。合格すれば3分×4Rの試合に出場することが許されるのに、2Rのスパーリングでバテバテになるようじゃ話になりません。

次に攻撃面としては、

  • パンチのスピード
  • ジャブからストレートをしっかり打てるか
  • コンビネーション

などかと思います。

パンチのスピードに関しては個人差もあるので打ち終わりの引きまでが重要なのかなと思います。

ジャブからストレートに関してはこれは基本です。ジャブで相手との距離感を掴みながらストレートを出す。フックを返す。これだけで当たる当たらないは別として1つのコンビネーションです。あとはその中でいかに手数が出ているかも重要かと思います。

いろいろと対策として書きましたが、トレーナーとしては選手の試合でラウンドごとに優劣をつけることよりもプロテストの結果は判断がつきません。この選手は受かっただろうと思っても落ちていたりすることが何度かありました。

なので対策としては自分のスタイルを維持しつつ基本を見つめ直すことが重要かと思います。

強さよりも巧さというのでしょうか。

もちろんこれが全部できる選手はかなりの有望選手です。プロテストの時点ではほぼいないとと思います。なので、できることは続ける、できないことは意識して修正していくしかないです。





プロテスト当日まで〜プロテスト当日

ボクサーといえば減量ですが、プロテストに関しては体重を落とすことは考えない方がいいです。

もちろんブヨブヨのたるんだお腹だといかがなものかと思いますが、申込時の体重を維持しているくらいで十分だと思います。しっかり動ける身体にしておくことが重要です。

また当日は実技試験の前に筆記試験もあるためボクシングのルールとして常識的な部分はしっかり把握しておきましょう。これはジムのトレーナーの方などから前日までに指導やアドバイスがあるかと思います。

実技試験に関しては、試験中トレーナーがアドバイスや声を出すことはできないため、自分で考え自分で動くしかありません。短い時間ですが、集中して基本のボクシングを心掛けるしかないです。

殴り合ってどちらかが倒れることを目的としている場ではないはずなので熱くならず冷静にが得策かと思います。





合格発表

合格発表は翌日の午後です。

関東圏ですと後楽園ホールに合格者のみ記載された紙が掲示板に貼られます。

日本ボクシングコミッションのホームページにも合格者のみ掲載されるためそちらでも確認できます。





⑪まとめ

ざっとではありますがボクシングジムに入会してからプロライセンス取得までの流れを書いてみました。

どんな競技もそうですが、その道の「プロフェッショナル」を目指すわけですからあまくはないです。

何度もプロテストに落ちた選手も知っていますし、いつのまにかジムに来なくなった練習生も何人もいました。

まずは続けることです。ジムに通うことも走ることも。

それができないのならプロとして合格しても人に言える資格にはならないのではないのでしょうか。

何度も言いますが、続けることが重要です。

そしてあまくはないです。

人生の半分以上の期間をボクシングに関わって過ごしたので熱くなりました。

またボクシングについて書きたいと思います。これからボクシングをしたい!と思っている方や大きな夢に向かっている方の参考になればと思います。

ボクシングを離れ数年経ちますが、またジム通いをしたいなあと常に思うほどボクシングは素晴らしいスポーツです。

お読み頂きありがとうございました。